2040年に向けた医療の再構築 ―地域、現場、政策の交点で―

地域医療や介護の持続可能性を支える制度とマネジメントの展望

　このたび、第64回日本医療・病院管理学会学術総会を2026年10月24日・25日に開催するにあたり一言ご挨拶を申し上げます。

　会場となる自治医科大学は、医療に恵まれない地域の医療を確保し、地域住民の保健・福祉の増進を図るため、全国の都道府県が共同して設立した大学で、全国各地で地域医療を支える多くの卒業生を送り出しています。

　栃木での本学術総会の開催は、1976年の第17回総会（学術総会長　自治医科大学　一条勝夫教授）以来、実に約50年ぶりであり、こうして皆様方をお迎えできることに大きな喜びと責任を感じております。

　第64回学術総会のテーマは、「2040年に向けた医療の再構築― 地域・現場・政策の交点で　地域医療や介護の持続可能性を支える制度とマネジメントの展望」としました。

　団塊の世代がすべて後期高齢者となった2025年以降を見据え、2040年に向けて医療提供体制の持続可能性が大きな課題となっています。

　日本医療・病院管理学会は、マクロ（制度・政策）とミクロ（病院・診療所等の現場）をつなぐ議論の場であり、医療政策や制度の研究者、医療機関の経営・管理・運営に携わる方々、医療情報、医療安全、看護、介護の専門家等、医療・病院管理学及び関連領域の多様な専門性を持つ参加者が集います。

　医療を取り巻く環境が大きく変化している中、地域医療をはじめとする医療をめぐる様々な課題の解決に向け、制度・政策・現場の横断的な議論を促すテーマとして、上記テーマを掲げることといたしました。

　厳しい時代ではありますが、さまざまな立場の人々が一堂に会し、議論を行うことで、現場の知と政策の視点をつなげながら未来の医療の姿を描く場にしたいと考えています。

　開催地・下野市は、古より穏やかな気候に恵まれ、畿内から放射状に伸びる幹線道路（七道）の一つである東山道が通り、人々が行き交う地として知られていました。下野薬師寺には、奈良時代後半に、奈良県の東大寺、福岡県の筑紫観世音寺とともに、日本三戒壇の一つである戒壇（かいだん・僧の養成所）が置かれ、受戒した僧が東国各地の国分寺などに派遣されるなど、東国を代表する重要な史跡も集中しています。

　学会のテーマと響き合う土地で、皆さまと未来を語り合えることを楽しみにしています。

　多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。